後悔はするけど、これが俺の歩いている道です。これから歩んでいく道です。皆さんも沿道で見守ってみてください・・・。

これが僕の歩むべき道

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| LOVEBALL | 16:33 | トラックバック:0コメント:0
高速スライダー
LOVE BALL~高校野球児の夢~

第9話「高速スライダー



バッターボックスに3番の江田が入った。
江田は右打席に入った。 基本的に左投げの選手に右打ちの選手は少ない。 右投げで左打ちというのはよくいるのだが左投げ右打ちは珍しい、そう覚えていて欲しい。
「潤、元々右投げだからな。 右打ちでもおかしくない。」
横で樹が言う。 元右投げの名残が残っている、そういうことだ。
真黒が第1球を投げた。 初球はストレート137キロ、江田は見送りストライク。
2球目はゆるいカーブ。 92キロ、この球速差に流石にタイミング合わずに空振り。 2ストライク。
その時、江田が声を上げた。
「お前も高速スライダー投げられるんだろ? 2ストライクにしてやったんだから投げてみろよ!」
「お前・・・絶対に舐めてるだろ・・・。 仕方ないな。 大衡、投げるか。」
真黒が声を上げる。
「あぁ・・・そうしますかね。」 大衡が言いながら構える。
真黒が高速スライダーを投げた。
インローへのキレのあるスライダーだった。
キン、江田のバットに当たった打球は三遊間(サードとショートの間のこと)へ、鋭いヒット製の打球が飛んだ。
俺はボールに向かって飛び込んだ。 打球は俺のグローブの先にギリギリ吸い込まれた。
俺はその倒れた体勢のままセカンドに送球、倒れたまま投げた為いい送球とは言えなかったがまずは2塁をアウト。
樹は逆シングル(グローブがある手、樹で言うと左側の逆方向にボールが行き、そのボールを取る方法)の難しい体勢のまま鋭い1塁への送球。 1塁もアウトになりダブルプレー。
「ナイス、樹。 流石の肩だな。」 俺が声をかける。
「お前もナイスキャッチな。 しかも、送球まで早すぎだし・・・。 まぁ、多少遅れてもアイツはそこまで足速くねぇからよ。」
そう言いながら江田を見る。
「多分、100M16秒くらいじゃねぇかな。 高校になったんだからそんなもんだろうよ。」
高校男子としてはそこまで速いほうではない。
ふと、真黒の方を見ると、俯いてベンチに戻っている。
「どうしたよ?」 外野から戻ってきた暁が声をかけた。
「・・・完全にヒットにされた。 北上以来だ・・・。」
真黒がボソッと言った。
「ハァ・・・、また落ち込んでんの? もうちょっとエースらしい精神力養えよな! まだ2打席以上あるんだから、それ抑えりゃいいだろうが。」
暁が真黒に声をかける。
「そ・れ・に・な! あの当たりは俺にとっちゃ普通のショートゴロだっつうの。」 俺も真黒に言った。
「よく言うぜ、ギリギリだったくせに。」 暁が突っかかってくる。
「ウルセェ!」
「ふっ・・・、俺も、お前らと同じチームなら3連覇できたのかな。」 真黒が小さい声で言っていたらしい。
「ん? 何か言った?」 しかし、俺達の耳には届かなかった。
「イヤ、なんでもない。」

その後の江田と真黒の投手戦は激しいものとなった。
江田はランナーを出さないピッチング。
対する真黒も江田の1安打と1つの四球に抑えていた。
しかし、8回裏1アウトから少し疲れが見えた真黒が連打と死球で満塁のピンチ・・・。

「3番、ピッチャー、江田君。」 アナウンスの声。
この絶体絶命のピンチ。 俺と樹、大衡の3人が真黒の元に寄る。
「どうする?・・・って言ったって勝負しかねぇんだがな。」 大衡が言った。
「ゲッツー・・・だな。」 樹が言った。
「アイツ、足遅いからよ。 三振とかで1アウト取りに行くなら内野ゴロでゲッツーが得策だ。」
しかし、真黒が口を開いた・・・。
「・・・野球がチームプレーと言うのはよく分かってる。 だが、この場面だけはわがままを言わせてもらえないか?」
そこで台詞を切ると真黒は続けた。
「アイツだけは・・・三振を取らせて欲しい。」
| LOVEBALL | 16:54 | トラックバック:0コメント:0
無名校VS無名校
LOVE BALL~高校野球児の夢~

第8話「無名校VS無名校



江田の左手からボールが放たれる。
バシッ!
初球はキャッチャーのミットに吸い込まれる。
球速は142キロ。 1年にしては怪物級の球速だ。
「速いな・・・。」 横で暁が言う。
確かに。 真黒も思いっきり投げて140が最高だ。
2球目は変化球で2ストライクと追い込む。
「ヘッ・・・そんなもんか~。」
江田が3球目を投げる。
真ん中高めの甘いストレート・・・だが、球速が勝りボールはミットに吸い込まれた。
「ストライク! バッターアウト!」
主審が叫ぶ。
結果は空振り三振。 樹の空振りを見るのは初めてだった。
樹がうつむいてベンチに戻ってくる。
「クソ・・・。 やっぱ、アイツには勝てないのか・・・。」
そんなことを俺とすれ違った時に呟いていた。
その後、牛島先輩も三振に倒れて2アウトとなった。
俺は打席に入る前、ベンチの樹に一言声をかけた。
「樹・・・。 お前、一人で野球するつもりか?」
樹が俺に目を向ける。 ちょっと疑問に思ったような顔をして。
「ハァ? 急に何行ってんだ?」
「いや・・・、自分が打たないと試合に勝てないってくらいへこんでるからさ。」
「・・・そうじゃね? 俺は、アイツには負けられないけど・・・。 勝てない。
実際、練習の時でも俺が一番・・・。」
樹が話している途中に俺は割って入った。
「オイオイ・・・。 そこが一人だっての。
あのなぁ・・・。 野球は9人でやるスポーツだろ? お前が打てなかったところで他の8人が打てばいい・・・。
確かに、練習ではお前が一番かもしれないけどよ。 あの投手を打てるヤツは・・・。」
言いながら俺は自分を親指で指差して。
「俺だっているんだよ。 何より、球威はあってもコントロールなさそうだしな。」
そう笑って言って俺は打席に向かう。
「ヘッ、大きな声で挑発してくれんじゃん?
そんなんで俺が冷静さ欠くとか、そういうの狙ってるわけ?」
江田が俺に向かって言う。
「ウンニャ、本当のこと言ったまで。」
そう言いながら俺も左打席に入る。
「樹が左で打とうとしてんだもんなぁ。 俺も左で打たなきゃ説得力ないよな。」
「お前ら・・・。 まぁ、そういうの俺は嫌いじゃねぇけどさ。」
江田が笑いながら言う。
「負けるわけにはいかないんだな。」
ズバーン。 初球は空振り。 キャッチャーのミットにボールが吸い込まれる。
球速は143キロ。 ストレートだ。
2球目。 142キロのストレート。 これも空振りで2ストライク。
「無理だ! 普通でも打ちにくいんだから、右で行けよ!
コイツの球は左じゃ打てる球威じゃない!」
樹が声を上げる。
しかし、俺は左打席に入る。
「・・・そんなお前を評して見せてやるよ。
できれば、決勝くらいまで残しとくつもりだったけど、1回戦で使ってやるよ。」
江田が3球目を投げる。
インロー(インというのがインサイドでバッターに近い場所。 ローは低いってことで膝くらいの高さ。 だから、膝元に食い込んでくるボール)にほぼストレートと同じ球速。 しかしそこからボールが逃げていく。
これは高速スライダー(ストレートとほぼ同じ球速で横に曲がる球。 高校生で投げるのはかなり難しい。 レッドソックスにいる松坂選手の得意球として有名だ。)だ。
「こんなの、見たこと無いだろ?」 江田はそんなことを投げかけている目をしていた。
「残念だが・・・2回目だよ。
しかも、もっとキレも球速もある!」
カキーン。 バットに当たり、打球も伸びる。 しかし!
「アウト!」 ファーストの審判の右手が上がる。 ボールはライトのグローブに吸い込まれた。
「ヤベェ~・・・ちょっとつまった・・・。」
イヤ、捕らえたはずだった。 しかし、球が重かった・・・。
「お前・・・。 俺の高速スライダーは打っといてアイツのは打てねぇのかよ。」
真黒が俺にグローブを渡しながら言った。
「イヤ・・・、お前のは右で打ったからな。 打席変わると大分違うんだなぁ。 痛感したよ。」
俺はこう言ったが、右でも打てたかは微妙だった。
確かにキレ・球速は真黒の方が上だ。 ただ、重い・・・。
「でしゃばるからだよ・・・。」
樹が横で言う。
「でも・・・2人で勝とうぜ・・・。」
「エッ・・・!?」
その樹の言葉にかなり驚いた。
「・・・なんだよ。 その意外そうな顔は。」
「イヤ、結構素直なんだな、って思っただけだよ。」
言いながら俺はポジションに着く。
「素直っつうか・・・。 お前を認めただけだよ。」
ボソッと樹が言う。
俺は笑っていた。 認められたのが嬉しかったから。
そんな中、真黒が高校デビューの第1球を投げた。
カキーン。 その初球の打球は俺の横を抜けてレフト前ヒットになった。
俺が真黒にボールを戻しながら言った。
「アイツ、お前らのチームにいたよな?」
「アァ・・・。 ウチの1番センターだった木暮 圭(こぐれけい)だな。」
「ってことは、俺らと同じ現象が無花果でも起きたってことか。」
でも、2つの無名校が急に強くなるなんて・・・偶然にもほどがあるだろう。
「まぁ、お前なら勝てるさ。」
そう言いながら俺は真黒にボールを託す。
「・・・当たり前だ。」
俺は元のポジションに戻った。
無花果の2番は2年生の白島(はくしま)さん。
その白島さんを三球三振に打ち取り1アウト。
次のバッターは3番に入っているピッチャーの江田。
「なぁ、アイツ。 バッティングはどうなんだ?」
「小学校の頃は俺以上だった。
あの後、バッターに転向したんっだったら・・・。」
樹は一旦切り、言った。
「途中でピッチャーになったとか関係なしに・・・俺らよりダントツ上だ。」
樹が衝撃的なことを言った。
俺らより上って・・・!?
「・・・という事は、アイツを抑えれば北上に勝てるってことか?」
真黒が会話に入ってくる。
「まぁ・・・そうなるんじゃね。」
樹が答える。
「そうか・・・。
なら、負けるわけにはいかないな・・・。」
真黒はそう言いマウンドに立つ。
| LOVEBALL | 16:46 | トラックバック:0コメント:0
放たれる、勝負の高速スライダー
LOVE BALL~高校野球児の夢~
第10話「放たれる、勝負の高速スライダー」

「仕方ないな、今までお前が抑えたんだし、最後くらい自由にやれよ。
なんて、先輩失格だな」 鵜杉先輩が笑って言った。
「先輩が言うならいいんじゃない?」 サードの日比谷。
「まっ、キャプテンにバレたらなんか言われそうだが、キャッチャーとしては、投手の言い分が優先だな。」 大衡が笑って言う。
「俺も、アイツが三振してるとこ見てみたいな。 樹はどうなんよ?」
「・・・俺は打者としてアイツに勝つ。
でも・・・投手としては勝てないから、チームメイトに任せないとな。」 樹も笑って答えた。
「じゃっ、満場一致ってことで! ヨロシク、真黒君!」 鵜杉先輩の言葉で俺達内野陣は自分のポジションへと散っていった。
「さぁさぁ、どういう作戦にしたのかな? 満塁じゃ敬遠もできないよね。」
江田が挑発的に真黒に言う。
「残念ながら。 お前みたいなバッター、敬遠する気なんて少しもないな。」
真黒が言いながら投球モーションに入る。
「ヘッ・・・言うねぇ・・・。」
江田も構える。
初球。 インハイの直球、140キロジャストでストライク。
2球目。 2球目は136キロのストレート。 アウトハイに決めて2ストライク。
その後は高めに1球ストレートを外し、もう1球低めにチェンジアップを見せて2ストライク2ボールになった。
「早く高速スライダー投げろよ。 どうせ勝負球はそれなんだろ?
チェンジアップなんか見せなくてもいいしよ。」
江田が言う。
急遽、俺が真黒の下に行く。
「・・・ここはしっかり冷静になれよ。 ・・・っつってもお前は高速スライダー投げるんだろうけどな。」
真黒はその言葉を聞き、ゆっくりとうなずいた。
「なら・・・俺から唯一の三振奪って行った、あの高速スライダー、見せてみろよ。」
俺はそう言ってグローブで真黒の胸をたたき、ポジションに戻った。
どことなく真黒の表情は集中力を増しているように見えた。
その運命の5球目。
真黒の左手から放たれたボールはほぼストレートと同じ球速で真ん中くらいのところから江田のインサイドへと食い込んでくる。
江田もバットを振る。
バーン。 江田のバットが空を切った。
「バッターアウト!」 審判が声を上げる。
真黒が珍しくガッツポーズを見せた。 しかし、まだ2アウトだ。
すかさず俺が、「オイ、まだもう1つアウト取らなきゃいけないんだ、集中切るなよ!」
しかし、一旦切れた集中力を取り戻すことにはならなかった。
その後のバッターへの初球、甘く入ったストレートをセンターの前に運ばれる。 その間に三塁ランナーがホームイン。
「暁! ホームアウトできるぞ!」 俺が声を上げる。
「んなこと・・・」 暁がボールを取る。
「言われなくたって分かってるよ!」 暁がバックホームする。
その返球が見事にストライクの返球になる。
アウト! 2塁ランナーがホームでアウト。 2点目をなんとか防いだ。
「ナイス返球。」 俺が暁に声をかけるのだが、暁はすぐに真黒の方へと向かって言った。
「オイ! お前、自分で三振取るって言って三振取ったくせにその後すぐに集中切るなよな!ったく、マジで技術とかそういうのの前に精神面鍛えろよな。」 暁は完全に怒ってる様子だ。
「お前、その辺にしてやれ。」 牛島キャプテンが悟るに言う。
が、暁は急に表情を変えると。
「まぁ、1点に抑えたんだから切り替えろよな。 追いついてやるからよ。」暁が真黒に笑いかける。
「って、普通にお前には打順回らねぇだろ。 かっこつけんな。」 俺が後ろから突っかかる。
「ウルセェな。 お前らが回せばいいんだよ!」
「悪いが、それは無理だ。」 横から樹も言ってくる。
「先輩達にも悪いけど、あいつを打つには俺か青樹くらいだ。」
ん? ちょっと待て?
「・・・それじゃ、この試合負けるってことじゃねぇかよ。」 暁が言う。
そう、この回は江田がパーフェクトに抑えてるから7番からである。
ということはこの回3人で攻撃が終ると樹まで回らずに試合が終ってしまう。
「あぁ、それなら大丈夫だよ。」 樹がいう。
「・・・・・ハ?」 暁が聞き返す。
「黙ってみてろよ。」 樹が自信に満ちた目で言った。
バッターボックスに春木先輩がバッターボックスに入る。
初球、江田は完全にボールだと分かるストレートでボールにした。
その後、2球連続で同じような球を投げて3ボール。
4球目も大きく外れてフォアボール。 初めてのランナーが出た。
春木先輩1塁に走っていく。 キャッチャーもマウンドへ向かう。
「な? だから言ったろ。」 ベンチにいるメンバーがみんな騒いでいる中、樹がそう言いながらバッターボックスに向かう。
樹がバッターボックスに立つと江田が声を上げた。
「やっぱ! 最後のバッターはお前じゃないとな。 樹。」
「ヘッ、最後って、俺らまだ1年だろ?」
「まぁな。 ただ、無花果高校、来年から東じゃなくて西東京大会に登録することになったからな。 毎年戦えるとは限らねぇし・・・もしかしたらこれが最後の対決になるかもしれないからな。」
無花果高校は東と西のほぼ真ん中にある学校だ。 今年、少し東の学校が増えたということで来年から西東京大会になる、そのような噂は確かに聞いたことがある。
ただ、特に強い学校じゃない為にスルーされたみたいだが・・・。
「だから、最後になるなら、やっぱお前を打ち取らなきゃな。」
「ヘッ、あまり舐めるなよ。 初勝利、ここで飾らせてもらうから。」
今、2人の小学校からの戦いが始まる。
| LOVEBALL | 20:36 | トラックバック:0コメント:0
運命の再開
LOVE BALL~高校野球児の夢~

第7話「運命の再開



俺たち白城高校野球部員は一回戦の野球場に到着。
相手の高校は無花果高校(いちじくこうこう)・・・?
ハッキリ言って名前すら知らない。
先輩方から言うと、この高校と一度だけ戦い、20-17で負けたことがあるという。
その年は例年になく投手がいなかったらしい。
いつものように一人投手がいれば勝てた高校らしい。
「何だ~、楽勝ジャン。」
樹がそんな台詞を吐きながら球場へと入っていく。
「・・・油断は禁物だ。 今年の俺たちみたいなことが起きているかもしれないだろう。」
後ろから真黒が言う。
確かにそうだ。 公式戦無勝の白城だってこんなメンバーがそろったんだ。
「まぁ、俺たちの実力出せば勝てるって。 後悔しない試合やろうぜ!」
暁のその一言で俺達はベンチに入っていった。

初めての高校の野球場を見て俺たちは軽い感動を覚えた。
こんな広くて、キレイな球場で俺達は野球ができるんだ!
甲子園はもっと凄いんだろうなぁ・・・。
そんなことを思いながら、チームごとの練習が終わり、ついに俺たち最初の公式戦が始まった。

両チームが整列し、礼をする。 チームごとにベンチに別れる。
俺達は1塁側のベンチだ。
1塁側のベンチにはブラバンもいれば、応援団も数多くいる。
まだ1回戦なのに1塁側の応援席はほぼ満員だ。
「これが俺らを見に来てくれた人たち!? スッゲェ人数だな。」
暁がボソッと言う。
「やっぱ、中学とは違うわな。」
俺がそんな暁に一言言った。
「・・・何か、あのピッチャーどっかで見たことあるなぁ・・・。」
打席に入る準備をしている樹が一言言った。
「マジで!? 結構有名なのか? 試合したことあるとか。」
暁が反応する。
「イヤ、中学ではやってない。 監督、あのピッチャー名前分かります?」
「名前は・・・江田 潤君らしいよ。」
その名前を聞いた瞬間、樹の顔が強張った。
「ちょっと字を見せてください!」
と言って樹は監督から相手のメンバー表を奪い取る。
その名前を見た瞬間。 更に樹の表情が変わった。
「嘘だろ・・・。 何で・・・。」
「オイ? どうした? 早く行ったほうがいいぜ。」
暁が樹に一言声をかける。
確かに、主審が俺達のほうを見ている。 待っているようだ。
「あぁ・・・。」
「アイツ・・・おかしくねぇか?」
暁が俺に話しかける。 確かに様子がおかしい。
そんな時、俺は佳穂から聞いた話を思い出した。
「まさか・・・。 もしかしたら・・・。」
「ん? どうした?」
暁が俺の独り言に反応する。
俺は暁に首を振った。 自信がなかったからだが、もう確信もしている矛盾している気持ちだった。

「プレイボール!」
主審の声が響く。 ついに試合が始まった。
樹が左ピッチャーに対して左打席に入る。 多分、その場にいた野球の知識を持っているヤツらはミンナ不思議に思ったはずだ。
なぜかというと、基本的に両打ちの選手というのは相手の投手の利き腕の逆の打席に入るのが普通だ。
そこを詳しく説明すると長くなるのでやらないが、普通右投手相手には左打席、左投手相手には右打席に入る方が有利。
そういうことを覚えておいて欲しい。
「あれぇ~。 左相手に左打席に入るとは、舐められてんのか?」
相手投手が声を張り上げる。
「それとも・・・、やっぱ左打席で勝負したいのか?」
この会話。 俺と佳穂、おそらくもう1人の幼馴染である小海も分かってるだろうが、それ以外の人にとっては不明であろう。
「アァ・・・。 まさか、左投手になってるとは思わなかったよ。」
「当たり前だろ。 バッターもいいけど、やっぱ俺は投手が好きだからな。」
やはり・・・。 この投手がこの前佳穂が言っていた投手(5話参照)らしい。
「・・・アンタにだけ、勝てなかったからな~。
残念ながらここで打たせてもらうぜ?」
樹が笑って言う。
「フン、残念だなぁ・・・。
右投げの時代より大分キレも球速も上がったんだよねぇ・・・。
俺は、左投げの才能があったっぽいよ。」
笑いながら江田は振りかぶる。
「ヘッ、ホザケよ。」
樹が構える。
ついに、俺達の初公式戦の幕が上がった・・・。
| LOVEBALL | 17:02 | トラックバック:0コメント:0
初の公式戦
LOVE BALL~高校野球児の夢~

第6話「初の公式戦



入学から早3ヶ月とちょっと。 ついに俺たちの初の公式戦が目前と迫っていた。
とりあえず、学校側から言えば公式戦初勝利を目指して欲しいらしい。
応援団も多く来るそうだ。 1年の女子も多いと聞いている。
暁と樹が結構女子に人気あるからな。
えっ!? 俺はって? 成績悪いからそこまでじゃないかな。
多少俺目当ての人もいるという噂だけど・・・。
まぁ、そんなことよりハッキリ言って、俺らから言わせれば初勝利じゃなくて「甲子園」を目指してるんだが、初勝利でいいらしい・・・。
エースには中学全国大会準優勝ピッチャーの真黒、ベスト4に入った学校の4番で後逸0の命捕手大衡、自分で言うのはなんだが、おそらく1年から超高校級二遊間の俺と樹、センターには入学時、樹も警戒していた暁。
このメンツがそろっていて初勝利とはなめたものだ。
とはいえ、今年、俺らが活躍して、良い後輩に入ってもらわないと、甲子園に行けたとしても優勝は難しい。
そもそも、東京って結構強豪地区だから下手したら甲子園にも行けない。

今日の練習の空気も、試合前日とだけあっていつもと違いピリピリしている。
練習が終わり、最後に監督がミンナを集めた。
「じゃぁ、明日の試合のスタメンを発表するよ~。 呼ばれた人は前に出てきて、背番号もらってねぇ~。」
さぁ、ついにスタメン発表だ!
「1番、セカンド、正田君!」
「ハイ!」
樹が4番の背番号を監督から受け取った。
暁が隣で少し顔をしかめた。 やっぱ1番がよかったんだな。
「2番、ライト、牛島君!」
「ハイ・・・。」
キャプテンの牛島 透(うしじま とおる)先輩だ。
かなりバントが上手い。 かなりというより、チーム内で一番上手い。
まぁ、俺らの中にバントをしてきたヤツいないから当然かな。
牛島先輩が9番を受け取る。
「3番、ショート、北上君!」
「ハイ!」
俺は呼ばれたので監督の下へと走る。
横にいた佳穂に6番の背番号を受け取る。
「頑張って。」
もらう際、佳穂はそう言ってくれた。
多分、全員に言ってるだろうが、俺は少し興奮したりした(笑)
「4番、キャッチャー、大衡君!」
「ハイ!」
高校でも4番には大衡。 2番の背番号を受け取った。
「5番、ファースト、鵜杉君!」
2年生の鵜杉 隼人(うすぎ はやと)先輩。 去年は1年生ながら4番を打っていたらしい。
樹が実力テストを受けたときに言ったが、この高校は打力がある。
その打力があるこの高校で1年から4番を打っているのだからかなり打力があるバッター。
この人がファースト・2年生って言うのはかなり心強い。
鵜杉先輩は3番の背番号を受け取った。
「6番、センター、九条君!」
「ハイ~!」
ここでやっと暁。 まぁ、暁は5番って言うよりは6番ってキャラだな。
長打力って言うよりは巧打力だし。
暁が8番を受け取る。
「7番、サード、日比谷君!」
「ハイ!!!」
サードは日比谷 亮平(ひびや りょうへい)。 1年生だ。
最近知ったのだがこの日比谷。 全国ベスト8のチームの4番と言う実績を持っているらしい。
しかも、東京都在住じゃなく、埼玉県に住んでるらしい。
もっと言えば、スポーツ推薦での入学らしい。
ここはスポーツが強いからスポーツ推薦での入学も容易ではない。
野球部のスポーツ推薦での入学は俺と樹、そしてこの日比谷の3人。
ちなみに、暁・真黒・大衡は落ちて、一般から入ってる。
この日比谷はかなり期待されたが、推薦の後に大怪我して、高校の練習にもあまり出てこなかったから知らなかったけど。
その怪我でちょっとプレーが落ちたらしいが、それでも7番だ。
「8番、ピッチャー、真黒君!」
「・・・ハイ。」
我らがエース。 真黒は8番だ。
真黒は中学時代にレギュラーで5番を打っていたほどの打力を持っている。
その準優勝校の5番でも8番という、中々恐ろしい打順になっている。
「9番、レフト、春木君!」
「ウィ~。」
レフトは3年生・副キャプテンの春木 椿(はるぎ つばき)先輩。
春木先輩は、去年の3番を打ってた。
去年の試合は4打数4安打1HRの活躍を見せていたらしい。
俺らのせいで9番まで打順落とされたけど、「仕方ねぇだろ。」って笑って済ませてくれる優しい先輩だ。
「この9人で行くよ~。 学校側からはとりあえず1勝しろだってさ。」
そんなのは分かっている。
優勝校・準優勝校・ベスト4・ベスト8・そして究極の天才。
そんなところから卒業してるヤツらがそろってて負ける気はしない。
俺も他の部員もみんな、そう思っていた・・・。
| LOVEBALL | 17:05 | トラックバック:0コメント:0
解き放たれしプレッシャー
LOVE BALL~高校野球児の夢~

第5話「解き放たれしプレッシャー


今俺の隣では佳穂が歩いている。
俺は、緊張で全く話せなかった。
すると、佳穂のほうから沈黙を破ってきた。
「あのさ、どうしたの? 元気ないみたいだけど。」
佳穂が心配そうな顔で俺を見ている。
俺は笑って答えた。
「ん? 大丈夫だぜ。 全然問題ない。」
「そう? でも・・・九条君と裕香がアタシに北上君が悩んでるみたいだから聞いてやれって言ってたけど・・・。」
・・・アイツら。 余計な事しやがって・・・。
「・・・九条君と裕香に言えないことアタシに言うわけないのにね。」
さっきまで俺を元気付けようと明るい顔をしてた佳穂がドンドン暗くなっていく。
「あっ、そんな、佳穂が気にすることじゃねぇよ? それに、悩んでるわけでもないし。」
「ウソツキ!」
佳穂がちょっと大きな声を出した。
少し怒っている感じだ。
「今日、朝からおかしかったジャン。 樹君のこと聞いてくるし。
それに、樹君が北上君の記録抜いてく度に暗くなってたじゃない。」
・・・。 見抜かれていたのか。
暁・裕香だったら納得いくけど、佳穂にもバレテルとはな・・・。
「あぁ、暗くなってた理由は、面白くなかったからだよ。」
俺は素直に佳穂に答えた。
「・・・面白くなかった?」
「そう。 中学3年間で・・・イヤ、この人生の中で俺より上手いなんてやつ、あんま見なかったからさ。
しかも、あそこまで差をつけられたなんて初体験だと思う。」
俺は、一呼吸いれて、続きを話した。
「何て言えばいいのかなぁ・・・。 今まで俺に向いてた尊敬の目ってやつかな。 それが他のやつに向くなんて、そんなの初めてだったから慣れてないんだと思う。」
俺が話し終わると、佳穂は笑って答えた。
「それって、ただ単に北上君が天狗になってただけジャン。」
佳穂がスキップのような形で俺の前に出て、俺に向き直り、続きを言った。
「そりゃ、北上君は上手いとは思うけど、一番なわけないジャン。
全国探せば北上君より上手い人、いや、樹君よりも上手い人だってたくさんいるんだよ?
そういう人たちに負けないために努力する。 真黒君だってそうやってあそこまで上手くなったんじゃないの?」
・・・そうかもしれない。
高校に入って、何球かボールを見させてもらったが、中学とは大分キレが上がっていた。
「それは、北上君に負けて、もう負けたくないから努力したんじゃない?
あんなこと言ってたけど、本当は真剣勝負がやりたいはずだよ。
それは、大衡君だって変わらないと思う。」
・・・佳穂の言葉一言一言が俺の心に深く響いていた。
そりゃそうだ。 みんな、勝ちたくて努力してきているはずだ。
なのに、俺は何をこれだけで落ちこぼれてんだ・・・。
「・・・。 じゃぁ、元気出るために樹君の話してあげようか?」
「・・・樹の?」
「ウン。 多分、今言った人たちよりも修羅場抜けてるから。」
佳穂は樹のことを語りだした。
「樹君。 小学校4年生くらいに全国大会で優勝してるんだよ。 しかも、そのチームのショートやってて、ベストナインも取って。
今の北上君みたいな、自分より上手い人なんて知らない状態だったんだ。
そんなときにね。 そのチームに1人の同い年のピッチャーがチームに入ってきたのね。
そのピッチャーが樹君と対決したの。 その結果が・・・まさかの三振。
その後10打席分くらいやって、結局樹君、ヒット打てなかったの。」
・・・あの、樹がヒットを打てなかった?
「そのピッチャーは何処に?」 俺はその言葉を飲み込んだ。
おそらくこの後出てくると直感したからだ。
「それで、樹君、かなり落ちこぼれちゃってね。 練習にも出なくなっちゃったの。
そんなある日、そのピッチャーが練習のしすぎで肩を壊しちゃってピッチャーを断念せざる負えなくなったの。」
そうか・・・。 じゃぁ、本当にもう二度と勝てなくなったのか。
「樹君もの凄く後悔して。 もっと練習に出て、勝てるようになりたかったんだと思う。
でも、それももうできなくなって・・・。
樹君。 アタシと萌にだけ話したんだけど、もうそのピッチャー以外には絶対に負けない。 それが俺なりのケジメなんだって。
だから、今でも努力をするのを止めないんだと思う。」
アイツにそんな過去があったんだな・・・。 結構呑気に見えたけど、あれも見せかけってことなのかな・・・。
「じゃぁ、俺はアイツに失礼なことしてるんだな。 アイツはもう対戦できないけど、俺はまだ逆転できるんだよな。」
「そうだよ! 今日からまた頑張って、樹君よりも上手くなればいいんだよ。」
その通りだ。 こんなのも分からなかったなんてな・・・。
「それで、二人で伸び合えば、最強の二遊間だよ!」
「だね。 ・・・今日はサンキューな! もう遅いし、送ってくよ。」
俺は腕時計を見てみた。 もう既に針は9時をさしている。
「えっ!? 悪いよ。 ここからは逆方向だよ?」
「イヤ、まだ聞きたい事とかあるし、この時間に女子一人は危ない。」
と言って、俺はいつも曲がっている角を通り過ぎる。
「あっ、ありがとうね。」
「イヤ、お礼言わなきゃいけないのは俺だから・・・。」
次の角を曲がってから沈黙が続いた。
俺は1つ気になった事を聞いてみた。
「・・・そのピッチャー野球やめたの?」
佳穂はちょっと考え込んでから答えた。
「う~ん・・・。 バッターにコンバートしたとは聞いたけど。
肩壊した直後にチーム止めちゃったから詳しくは分からない・・・。」
「そっか。 サンキューな。」
そう俺が言うと、もう佳穂の家が見えていた。
「もういいよ。 ありがとう。」
「イヤ、マジでこちらこそありがとうな。 じゃぁ、また明日。」
「ウン。 気をつけてね~。」
佳穂が手を振ってくる。
俺も手を振り替えし、帰路に着いた・・・。
| LOVEBALL | 16:38 | トラックバック:0コメント:0
元天才ショートの実力
LOVE BALL~高校野球児の夢~

第4話「元天才ショートの実力



今日も授業が終わり、俺たち野球部員は野球場へと向かった。

野球場に着くと、また新入部員が自己紹介をしていた。
「小海 萌(こうみ もえ)って言います! ヨロシクお願いします!」
またマネージャー増えたんだ。
「あっ、萌! お前、マネやんの!?」
樹が小海と呼ばれたマネージャーに話しかける。
「まぁね~。 去年、少し興味もったからさ。」
「ホォ~。 まぁ、ヨロシクな!」
そう言って樹は更衣室に向かう。
俺と暁も更衣室に入った。 そこで、暁が樹に尋ねた。
「なぁ~、あの新しいマネージャーと知り合い?」
「まぁ、小学校同じだったんだよ。 中学は違うけどな。」
・・・。 そりゃそうだろう。 引っ越したらしいからな。
「へぇ~、3年間違う学校なのに仲いいな。」
「そんなん、佳穂も一緒だよ。 お前らだって3人幼馴染なんだろ?
それと同じ。 俺らも佳穂と萌の3人が幼馴染なの。」
あっ、だからあんなに仲良かったのか。
納得した俺は、一番気になってたことを尋ねた。
「それより、お前今日レギュラー取れるかほぼ決まんだろ?」
樹はスパイクの紐を結びながら答えた。
「あぁ・・・。 とりあえず、九条がセンターになってくんねぇとどんなに頑張っても無理だがな。」
そう言って暁を指差す。
「アン? 別にいいぜ。 センターの方が楽しいしな。」
暁が笑って答える。
「マジで!? じゃぁ、頑張っちゃおうかな。 じゃっ、先行くぜ。」
樹が更衣室から出て行く。
「アイツ着替えるの早いなぁ・・・。」
暁と俺がボヤき、急いで後を追った。

部員全員がアップを済ませると、早速樹の実力拝見が始まった。
まずはバッティングから。
部活が盛んなこの高校には150キロのストレートまで出るバッティングマシンがある。
しかも、変化球が全方向にあるし、球速も自由に変えられる。
これのおかげで勝ったことはないと言っても完封負けはない。
ただ、ピッチャーが抑えられない。 結構打撃力はある高校だ。
このバッティングマシンのおかげらしい。

そのバッティングマシン30球中何本打てるかだ。
ちなみに、球速・球種は監督の気分次第らしい。
だから、先輩方でもこれは5球ほど打てればいいほうらしい。
ちなみに、俺らの記録を参考までに。
俺が28球ヒット。 内、8球がHR
暁が21球ヒット。 HRは2球。
真黒君は8球ヒットでHRは0
大衡が16球ヒットでHRは5球。
まぁ、先輩方はみんな超えてるってことだな。
じゃぁ、樹はどうなんだ・・・?
カキーン カキーン カキーン
バットの音が響きまくる。 
全て終った所で監督が結果を言う。
「・・・ヒット29球。 HR6本だよ~。」
・・・沈黙が走る。
全員、俺のヒット数をこえたことに驚いているんだ。
「まっ、こんなもんかな。 どうっすか? 俺の実力分かりました?」
「・・・。 とっ、とりあえずバッティングは一流だね~。
次は守備を見るよ。」
監督がバットを取りにベンチに戻っていく。
その間に俺が樹に聞いた。
「お前、50M何秒?」
「えっ? 北上より遅ぇよ?5秒4」
確かに遅いが十分すぎる。
ちなみに、俺は5秒2だ。
「・・・そんだけあれば十分だろ? 1番でもやってたか?」
「あぁ、でも九条が1番やるだろうから俺は6番くらいでいいよ。」
「樹君~。 やるよ~。」
監督がノックの準備完了だからか樹を呼んできた。
「ういっす。」
樹が向かっていく。
「アイツ1番か・・・。 じゃぁ、俺が6番辺りだな。」
暁が後ろで呟いた。
「あぁ・・・。 俺より打つんじゃ下手したら3番取られる。」
「それはないと思うよ。」
横で言ってきたのは裕香だった。
「HRは青樹の方が多いんだから。 多分、中軸打たせてもらえるよ。」
「だといいけどな。 まぁ、それを決めるのはあの人だ。」
既に監督はノックを始めていた。
この監督は見かけによらずノックはかなり上手い。
狙ったベースにも当てることができる実力の持ち主だ。
ただ、距離を出せないために外野まで打球が行かない。
そのため外野の守備が育たない。 まぁ。、今年の暁の入学は相当大きいということになる。
もっと言えば、レフトのカバーは俺がやれる。 俺はショートだからな。
後は、アイツ次第でライトもカバーできるけど・・・。
そう言ってみてみると、既に樹が取ったボールの数が山のようになっている。
横で佳穂が教えてくれた。
「今、監督20球くらい打ってるけど全部取ってるよ。」
スゲェな・・・。 監督、結構厳しいから俺でも100球ノックで88球しか取れなかった。
自慢じゃないけど、一応俺は3年間でノーエラーだし、日米中学野球にも選ばれて、ゴールデングラブ(守備が上手い選手に贈られる賞)も取ってる。
その俺が88球なのに・・・。
その後も樹は数を増やし、その数は94となった。
「どうっすか? 監督。」
「すっ・・・凄いねぇ~! 北上君以上の子なんているとは思わなかったよ!!!」
樹がかなり騒がれている。
「どう? 結構俺上手いだろ?」
樹があの新しいマネージャーに話しかけてる。
「だね~。 あの、北上君より上手いとは思わなかったよ!」
かなり騒いでる。
俺はかなり面白くなかった。
ハッキリ言えば、俺以上のやつなんて見たことなかったからこんな展開慣れてないんだ・・・。

樹は凄いって空気のまま練習が終った。
暁と裕香も俺の嫌な空気が伝わったのか、先に帰ってしまったらしい。
何処にも姿はない。
ってか、アイツら結構2人で帰る量多くねぇか?
そんな無駄なこと考えながら校門を出ようとした時。
「北上君! 一緒に帰ろう~。」
そう俺に言ってきたのは佳穂だった・・・。
| LOVEBALL | 17:10 | トラックバック:0コメント:0
すべては支えてくれる人のために
LOVE BALL~高校野球児の夢~

第3話「全ては支えてくれる人のために



樹と佳穂が一緒に帰っていく。
俺はそれを見つめることしかできなかった。
すると、「青樹~! 行くよ!」と裕香が俺を呼んだ。

俺は、帰っている途中もあの光景を忘れることはできなかった。
「オイ! 青樹! どうかしたか!?」
暁と裕香が心配そうに俺を見ている。
「・・・もしかして、あの正田君って子?」
うっ!? 裕香・・・結構鋭い・・・。
「やっぱ・・・。 あんま気にしない方がいいよ! セカンドにコンバートしたって言ってたジャン!」
・・・ヘッ?
「ほら、大丈夫だよ。 青樹だって野球上手いんだし、正田君にだって負けないよ!」
・・・それじゃねぇよ・・・。
「悪い、そのことじゃねぇんだ。 別の事。」
「えっ!? そうなの!? 何、言ってよ。」
「ゴメン・・・。 これだけは言えねぇや。」
そういうと俺は2人を置いて先に帰った。

家に着くと、俺はそのまま自分の部屋のベッドに倒れこんだ。
「・・・悪いことしたな・・・。」
ぼそっと独り言がこぼれた。
暁と裕香に俺のこと気にさせちまった・・・。
『さよなら~、もう~。 新しい明日へ歩き出した。』
急に、携帯が鳴った。 桜木町の着歌だから電話か。
「ハイ、もしもし。」
「あっ、青樹? 暁だけど。」
「あぁ、どうした?」
どうした?って帰りのことに決まってる・・・。
「イヤ、帰り明らかおかしかったからさ。」
やっぱな・・・。 気にさせちゃったか。
「あの後、裕香と話してたんだけど、多分佳穂ちゃんのことじゃないかってなったんよ。」
・・・流石は幼馴染の二人だ。
隠し通すのも無理ってことか・・・。
「・・・言いたくないことなら無理に言わなくてもいいけどよ。
お前には俺らがいるんだから、一人で悩みすぎんじゃねぇぞ?」
暁はそういうと電話を切った。
俺はその夜、色々な理由で眠れなかった。
勿論、佳穂ちゃんと樹のこともあるけど、暁と裕香に話すべきかとか、二人に悪いことしたとかそういう事で眠れなかった・・・。

今日は早くに学校着いた。 まだ時計は7時半を指している。
俺はまだ答を見つけていなかった。
すると、教室のドアが開いた。
俺が振り向くと、入ってきたのは佳穂だった。
「あれ? 北上君! 早いね!」
「佳穂こそ早いじゃん。 いつもこの時間に来てんの?」
「ウン。 家にいても暇だからね。」
佳穂は笑って言った。 それにしても7時半はスゲェな・・・。
関心していると佳穂が話しかけてきた。
「・・・ねぇ、どうしたの? 元気ないみたいだけど。」
・・・。 こりゃ、本人に言ってみなきゃダメみたいだな。
「あのさ・・・、樹とは付き合ってんの?」
「えっ、樹君!? 全然!」
佳穂はブンブン手を振っている。 完全否定している顔だ。
「えっ、じゃぁ昨日一緒に帰ってたのって何?」
「うん? あれは、樹君が幼馴染だからだよ。」
幼馴染!? だったら、何で中学が・・・。
「でも・・・中学違ったよね?」
「あぁ、それは小学校の頃に引っ越したんだよ。
んで、今年こっちに戻ってきたんだって。
この辺、小学校の頃に比べたら大分変わったから、案内してあげたんだ。」
あっ、ナルホド・・・。 完全に理解したよ。
「ふ~ん、付き合ってんのかと思ったよ。」
「違う違う。 樹君は他に好きな人いるし。」
「何? 相談受けてたりすんの?」
俺が結構裕香に相談してるから、してても可笑しくないと思って聞いてみた。
「ウン。 まぁね。」
「そっか。 佳穂も相談したりすんの?」
佳穂の顔が少し暗くなる。 ちょっと聞きすぎちまった・・・。
「まぁ。 一応メルアド聞いてたからね。 男子のこととか聞いたりさ。
そりゃ、アタシだって一人の女子ですから、好きな子くらいいるよ。」
佳穂は暗い顔を気づかれないように笑って言った。
やっぱ、優しい子だ・・・。 俺に気づかせないように笑ってくれる。
「あっ、北上君もいるの? 好きな子。」
えっ!? まさか、佳穂が聞いてくるとは思わなかった。
ちょっと戸惑いながら俺は正直に答えた。
「そりゃね。 俺も一人の男ですから。」
「そっか~、その子と甲子園どっちが大事だったりする?」
・・・考えたこともない事を聞かれた。
俺はちょっと考えてから答えた。
「う~ん・・・。 甲子園かな。 俺は。」
「へぇ~。 そっか・・・。 応援してるよ!」
佳穂は笑って言ったが、さっきから何となく表情が暗い気がする。
「まぁ・・・マネージャーだからね。」
俺がそういうと佳穂の顔から笑みがなくなった。
何となく、涙のようなものが目に浮かんでる気がする。
「あれ? 俺なんか言った?」
「えっ・・・? 別に。 ちょっと目にゴミっぽいの入ってさ。」
あっ、だからか。
俺は窓の方に眼をやると窓が開いている。
「あぁ~、窓開いてるからね。 ゴミでも入ったんじゃない?」
「・・・鈍いんだから・・・。」
佳穂は本当に小さな声で呟いた。
俺の耳にはこの台詞は届いていなかった。
「えっ? 何か言った?」
「ん? 別に何も言ってないよ。」
佳穂は暗い表情からまたいつもの明るい表情に戻っていた。
「絶対行こうね! 甲子園。
期待してるからさ。 北上君のこと。」
佳穂がいつもと変わらない調子で言ってきた。
「モチ! つれてってあげるよ。」
俺は笑って答えた。
「ウン。 ミンナ応援してる。
監督も、アタシも、裕香ちゃんも、他のマネージャー達も。」
「・・・分かってる。 行くよ。 必ず・・・。」
『甲子園』その言葉は、確実に俺の心の中で大きくなっていた。
| LOVEBALL | 17:08 | トラックバック:0コメント:0
天才と努力家
LOVE BALL~高校野球児の夢~

第2話「天才と努力家



俺が自己紹介したとたん、空気が変わった。
誰も言葉を発しない。
シビレを切らした俺が言った。
「・・・俺、何か変なこと言いました?」
それを口火に・・・。
「きっ、君があの天才ショートの北上君!?」
「ハイ・・・。 そうですけど・・・。」
「えぇ~!? 何でこの高校!? イヤ、本当に来てくれてありがとうね~。」
感激のあまりか、監督も先輩方にも泣いてる人がいる。
本当におおげさだなぁ・・・。
「・・・。 何故、お前がこの高校にいるんだ!?」
後ろから声がした。 どうやら声の主は真黒君のようだ。
「何故って・・・、いいじゃん別に。 そんなの君にも言えるんじゃないの?」
ヤベッ、ちょっと挑発的に言っちまった。
「俺は・・・三年間努力してやってきたんだ。 それを、どっかの天才君のせいで俺の夢は途絶えた・・・。」
コイツの言ってる夢ってのは三年間負けなしってやつだ。
・・・2連覇で十分だと思うがな・・・。
「んで、君がここに来た理由ってなんなの?」 暁がダメ押しの一言。
「俺は・・・もうアンタと比べて欲しくないんだ・・・。」
と、真黒君は俺を指差した。
「もう、アンタとはやりたくない・・・。 アンタはどうせ強い高校に行く。
俺がここに入れば、アンタと当たる前に負けられる。 もし、アンタと当たっても、比べられることがない・・・。」
・・・。 真黒君は泣きそうな目をしている。
「・・・努力しても天才には勝てないんだ・・・。
俺は努力してきた。 でも、アンタに負けた。 ただの努力家の俺と、超天才のアンタを比べられたら、俺はもうやってけるかよ・・・。」
これは、負けたものにしか分からないんだろうな。
多分、結局負けたじゃんとか学校で言われたんだろう・・・。
「・・・それなら問題ねぇじゃん~。」
暁が急に口を開いた。
「お前と青樹は同じ学校なんだぜ? どっちにしろお前と青樹が戦うことはない。」
・・・確かに。
「逆に、お前は俺ら白鯨に負けたって言うよりは青樹一人に打たれたようなもんだろ?
青樹以外のヒットは俺のサヨナラのときのヒット一本だったんだし。
ってことは、お前は青樹以外のやつには打たれない。 十分いいピッチャーってことじゃん。」
おぉ~。 暁君。 たまにはいい事いうじゃん。
「そうか・・・。 そうだな・・・。」 真黒君が納得した表情になる。
「北上・・・。 よろしく頼む。」
そう、真黒君が手を出す。 俺もその手をしっかりと握った。

その後、一日目の練習が終った。 と言っても、俺らはただの見学だ。
練習が終わり、部員が集まったところで真黒君が口を開いた。
「ところで、この学校には俺の全力投球を止められる人はいますか?」
・・・考えていなかった。 こんな無勝学校に真黒君のボールを取れるキャッチャーなんているとは思えない。
案の定、誰も口を開かなかった。
「・・・どうするんです? 全力投球じゃないと抑えられるものも無理ですよ?」
確かにそうだ。 ・・・どうする?
すると、遠くの方から走ってくる少年が二人見えた。
「すいません! 今日練習があるとは思ってませんでした! 見学させてください!」
ほぼ、同じようなことを二人一緒に答えた。 一体誰だ?
「・・・。 今日はもう練習終っちゃったんだよ~。」
「えっ!? マジっすか・・・。」
「う~ん、とりあえず自己紹介してもらおうか~。」
すると、右にいた結構大き目のやつから答えた。
「ハイ! 黒岩中学出身。 大衡 拓也(おおひら たくや)です!」
黒岩中学? 確か、去年俺らとベスト4やったとこじゃん!
大衡・・・。 確か・・・。
「中学時代はキャッチャーで4番をやらせてもらいました!」
そうだ! コイツ結構上手いんだよな。
確か、キャッチャーでエラーが0個なのは去年コイツくらいだとか・・・。
「キャッチャー!? ちょっと君。 真黒君のボール受けてもらえないかなぁ~?」
そうだ! コイツなら取れる気がする。
「今からですか? いいですよ。」
大衡が準備をする。
その間、真黒君はアップ。 勿論受けていたのは俺だ。
「OKだぜ。 準優勝ピッチャー!」
そういうと大衡がキャッチャーのポジションに着く。
真黒君が一球目を投げた。
バシ! ボールは大衡のキャッチャーミットに入っていく。
その後も、約20球ほど投げたが、大衡は全てミットに入れていた。
「・・・全力投球させてもらった。 君なら取れそうだな。」
「当たり前だろ・・・!」
おっ? これで1年バッテリー完成か。
あれ? そういや、さっきもう一人いたような・・・。
「あの~。 俺、忘れられてません?」
そうだ! もう一人いたじゃん!
コイツ小せぇな・・・。 160前半くらいか?
「そうだねぇ~。 君は?」
「俺は正田 樹(しょうだ たつき)です。 畑橋第一中学出身です。ポジションはセカンド希望しますけど・・・そこにいるのは白鯨の暁君だよね?」
話が暁にふられた。
「あぁ、そうだけど。」
「君がいるんじゃセカンドはきつそうだな・・・。 他のポジションできないん?」
「えっ!?センターくらいならできるけど。」
そう。 くらいと言ってるが、暁は元々外野手だ。
ただ、白鯨は外野よりもセカンドが不足していて、急遽暁に監督が頼んだんだ。
だから、どちらかと言うと外野の方が上手い。
「マジ!? じゃぁ、センターやってよ。 俺がセカンドすっからさ。」
「・・・そこまで言うからには君、上手いんだよね?」
「まぁ・・・。 今日はもう時間ないっすか?」
正田が監督に尋ねる。
「そうだねぇ~。 明日にしようか。」
「そうっすか。 まっ、そこの北上君に1つ言っとこうかな。」
えっ!? 俺?
「君、天才ショートって言われてるよね? でも、1年・2年の頃は言われてなかったはずだ。」
そう、俺が言われだしたのは3年からだ。
そこが妙に気になってたんだが・・・。
「そりゃそうだ。 元々天才ショートって俺だったんだから。」
何!? コイツ、さり気なく凄いことを・・・。
「ただ、3年に上がる前に肩壊しちゃってな。 遠投がかなり厳しくなって、だからショートからセカンドにコンバートしたんだ。
だから、相当自信あるよ?」
・・・なるほど、この学校に2人目の天才が現れたわけだ。
「まっ、学校が弱いからあまり表には出てこなかったけどな。」
「・・・今日はもう遅いからやめるよ~。 続きは明日。」
と、監督が俺らの間に割ってはいる。
んじゃ、帰るとしますか。
「オイ、暁帰ろうぜ~。」
「オウ!」
「あっ、私も~。」と裕香も入ってくる。
俺が暁・裕香と帰ろうとしたとき。
「あっ、佳穂!? 久しぶり!」
「あぁ~! どっかで見たことあると思ったら樹君か~。」
えっ!? お知り合い同士なん!?
「マジ、久々ジャン~。 家、変わってないよね?」
「ウン。 引っ越してないから。 ってか、引っ越したのは樹君だよね?」
何~!? この親睦そうな関係は・・・。
「そっか。 俺、またあの辺に引越したんよ。 ちょっと案内してくんね? 大分、変わったっぽいからさ。
多分、佳穂ン家の近くだから。」
「いいよ! じゃぁ、一緒に帰ろうか。」
「ん~。 行くか!」
・・・急な展開に俺は、ただただ戸惑ってるだけだった。
| LOVEBALL | 17:03 | トラックバック:0コメント:0
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暁 麗樹

Author:暁 麗樹
管理人のプロフィール
HN:暁 麗樹(あかつき れいじゅ)
年齢:16
学年:高二
性別:男
部活:軽音楽部みたいなもの。
HNの由来:好きな漢字をグチャグチャにしただけw
好きな漫画:ひぐらしのなく頃に・エム×ゼロ・ハヤテのごとく!・ダイヤのA・クロスゲーム・エリアの騎士・ゴールデンエイジ・BLEACH・アイシールド21・大きく振りかぶって・・・
好きなゲーム:パワプロ・プロスピ・ウイイレ・ひぐらしのなく頃に
好きな歌手:ゆず・UVERworld・BUMPOFCHIKEN・19・スキマスイッチ・AquaTimez・YU・RADWIMPSU・・・
好きなスポーツ:野球
見てくれてる人へ:俺はスポーツも勉強も何事にも平凡なやつで、面白い生活などかけらもしていません。 そんなのがやってるこのブログを少しでも好きになってくれたら嬉しいですね。
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初コメント、大大大歓迎ですw

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